吹屋弁柄の九谷焼 道本七郎右衛門 赤絵割模様花鳥人物画瓔珞文菓子鉢

道本七郎右衛門の初期の作品と思われ、「佐野赤絵」の画風が随所に見せています。内側には、伊三郎の晩年にみられた割模様を取り入れ、赤絵金彩だけでなく、黒色も用い明治九谷の赤絵を感じさせます。外側を赤玉瓔珞文で巡らせ、さらに、高台周りを芭蕉葉の細描な文様で一周させています

道本七郎右衛門;斉田伊三郎から赤絵網手の難しい絵付技術の指導を受けてこれを得意とした一人で、特色ある佐野赤絵の画風を踏襲した一人でした。明治3年(1870)、28才のとき、独立して佐野村で陶画業を始めましたが、晩年には販売業も行いました

内側の三つの割文様には、伊三郎の好んだ中国風の人物画、明治初期に流行った花鳥画、花木を通して見える遠景画がそれぞれ赤絵金彩、黒色で彩色していますが、余白も多くとり、割取の間を文様のように赤色を抑えて埋めています

外側の側面を巡らせている赤玉瓔珞文は赤玉文と瓔珞文から構成され、いずれの文様も古くから吉祥文として使われてきましたが、明治になると、「佐野赤絵」に多く取り入れられました。全体から見て「紅白」で吉祥を表わしたと見られ、赤絵によって当時流行った疫病からの快癒を祝した意味もあったと考えられます

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