作品の解説
徳利の面一杯には少し太い黒の呉須の線で枠取られた二つの割取があり、その中に、松の下で休む馬上の人物、もう一つには動きのある花鳥図が描かれています。この描き方は佐野赤絵の画風や色彩とは違い、中間色の絵の具などを多く使ったものです。
構図的には同胞の亀田山月の作品に似たところがあります。二人は荒木 探令(狩野 探令)らから九谷焼の向上のため画質の改善やその筆法の指導を受けたので、探令の狩野派の画法の影響を受けた作品と思われます。
サイズ 口径 約2.2cm 胴径 約7.2cm 高さ 約14.8cm
大きな割取には馬上の人物が松の下の水辺で馬に水を飲ませている図が描かれています。人物の身のこなしにはどこか優雅さがあり、松の描き方には狩野派のような力強さがあって、二つの組み合わせには狩野派の画風と思わせるものがあります。
裏側には、動きのある図案が描かれ、それは草花の間を飛ぶ鳥であり、帆に風を受けて水面を走る船であり、また群れをなして飛ぶ鶴です。その静と動が表と裏で対照的です。
当時、一対の徳利や盃、三つ揃いの鉢などが記念の品や祝いの品として贈られた習慣があり、それらには、吉祥な図案や文様として、幸福を運ぶ鶴と豊かさを運ぶ船が選ばれました。加賀地方では、北前船を連想させる帆掛け船が農海産物を運んで日本海を往来し、それが“宝船”と思われ、九谷焼に取り入れられました。
裏銘に「九谷/橋田画」と書き入れています。なお、「橋田画」の銘は初代だけが使ったといわれ、初代もある時期から草書体の「与三郎」に変え、以後、代々が「与三郎」を書き入れました。
作品の制作者
作品の制作者につきましては、「橋田与三郎の作品と陶歴」を検索してください。
管理№ | 19042303 |
展示開始年月日 | 2019.12.25 |
希望価格 | 売却済み |
備考 | 保存木箱付き |